Art Workshop in Ifugao(岩波康平)

  7月21日,22日の2日間、イフガオ州でアートワークショップを行いました。今回のワークショップはイフガオ州の6つの高校の先生(各校1人)と生徒(各校2人)と一緒に大きな舞台に使う背景幕(3m×5m)を作るというものでした。

 イフガオの伝統や文化は口頭で親から子へと伝えられてきました。しかし、近年ではその伝統や文化を継承することを重要だと考える人が減ってきています。今回のワークショップでは、背景幕を作成することを通して身の回りの植物や生き物、建物、そこに暮らす人々に意識を向けてもらい、素晴らしい文化や伝統があるということを再認識してもらい、それを各学校でいま制作中の聞き書きをベースとした演劇作品の背景幕に表現してもらうのが目的でした。


ワークショップを盛り上げたメンバー
左から、撮影班のRainel, Alvin,ファシリテイターのやすさん,撮影班のGladys,イフガオからサポートしてくれたFaith, 僕, ファシリテイターの芽英子さん, 浩子さん,まりこさん,CGNスタッフのJona Lyn,バギオ在のアーティストのRochelle


 参加者が集まったところで、名前と学校名と好きな植物のイメージを体を使って表すという自己紹介を行いました。周辺に生えている植物をあまり意識していなかった参加者からは、バナナなど商品として売っている知っている植物の名前が多く聞かれました。

 高校生の自己紹介からは緊張していることが伝わってきました。そこで、最初にやすさんがとるポーズを20秒でデッサンするというアクティビティを行いました。高校生も先生もやすさんのとる独特なポーズを楽しそうにデッサンしていました。会場の雰囲気がとても和み、高校生と先生は絵を楽しんで描いていました。


描いた絵を見せ合う高校生たち


 次に、背景幕の構図を考えるために背景幕に描くものの名前を紙に書き出してもらい、書き出したものを絵にしてもらいそれを紙に貼り付けて構図を作成しました。周りに何があるのか考えたり、ネットを使って伝統的な踊りを見たりしながら普段生活している身の回りに何があって、どのようなことが行われているのかに意識を向けていました。

作成した構図を説明する高校生


 その後に、宿題として持ってきてもらった植物を見ながら、その植物に近い色を三原色から作る練習と色ぬりの練習をしました。ここでベタ塗り(絵の具に混ぜる水の量が少ない)が目立ったのでファイリテイターの方々は絵の具に水をたくさん混ぜることを念入りに指導していました。


絵は上手ですが、ベタ塗り(水が少ない)が目立ちます

 

 1日目は背景幕の構図を考えるところまで進めました。元々絵を描くことが好きな生徒たちはファシリテイターの指導を素直に聞きながら絵を描くことに夢中になっていました。 解散になった後も学校に残って構図を作成しているグループもあり、自分の考えを絵として形にすることに真剣になっている姿が印象的でした。

完成した構図の1つ 


 背景幕に描く風景を考えながら、そこに描くものを考える過程で最初は棚田しか印象に残っていなかった生徒や先生が身の回りにある自然の豊かさや文化や伝統に意識を向けてくれたと思います。


雨の多い北ルソンですがビニール傘はあまり目にしません。こんな綺麗な傘が多いです。



2日目

 1日目の勢いそのままに2日目が始まりました。最初に、1日目の課題として残った「ベタ塗り」を改善してもらうためにファシリテイターの方々に絵の具に水をたっぷり混ぜて絵を描いてもらいました。この見本を見せたことがよかったようで、初めの時よりも多く水を使って色を塗ってくれるようになりました。


ファリテイターさんたちが描いた川


 いよいよ本番の紙(3m×5m)に挑みます。6つの学校を2校ずつ3グループに分けて3つの背景幕を描きました。背景幕を完成させるために、一日中絵を描き続けました。集中した雰囲気の中で楽しげな姿が多く、完成が楽しみになります。

 木ひとつとっても参加者によっては暗い木にしたかったり、明るい木にしたかったりとそれぞれの思いがあったので、その考えを共有して意見を交えながら描き進めていきました。


声をかけあいながら背景幕を塗っていきます


 構図をしっかりと決めてから描いたおかげで、絵を描くことに集中することができました。途中でお昼休憩を挟みながら、16時くらいまで背景幕を作り続けました。最後の方には初めは積極的ではなかった先生から「この背景幕を棺桶に入れて欲しい」という喜びの言葉も頂きました。


 完成までいったグループは1つでしたがどのグループも背景幕作りに真剣になっていました。協力し合いながら作業を進める姿、ファシリテイターの指導に素直に耳を向ける姿、楽しそうに絵を描く姿、文化や伝統に意識を向ける姿を見れたのが嬉しかったです。

完成した背景幕

 2日間イフガオ州でのワークショップに関わらせていただきました。僕はイフガオで暮らしている訳ではないので、単純に棚田が美しく自然豊かで素敵なところだと感じました。しかし、そこで暮らしている人からしたら、農業は生活のために不可欠なもので観光のためのものではありません。文化や伝統はそこに来る人のためではなく、そこで暮らす人のために受け継がれてきたものです。農業としての生産性の向上とツーリズムとの課題、伝統や文化をどのように継承していくのかといった課題があります。世界文化遺産と世界農業遺産に登録されている唯一の場所ですが、そのことがそこで暮らす人々に何をもたらすのかはわかりません。今回のワークショップでは文化と伝統の継承という課題にフォーカスして取り組みましたが、身近な自然の豊かさやそこで暮らす人々に目を向けたからといって課題が解決するのかはわかりません。でも、小さなことから始める。自分たちにできることをするという姿勢が素晴らしいと思いました。

 このワークショップをきっかけに身の回りの自然の豊かさを再認識し、これまで引き継がれてきた文化や伝統にも興味を持って欲しいと思います。

CGNインターン 岩波康平

0コメント

  • 1000 / 1000

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク インターン体験ブログ

フィリピン・ルソン島北部のバギオを拠点に、コーディリエラ山岳地方で活動する環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の日本人インターンによるブログです。活動紹介のホームページはhttps://cordigreen.jimdo.com。以前のインターン体験ブログはこちらameblo.jp/cordillera/。問い合わせはcordigreen(a)gmail.comまで。