鉱山開発地域 in イトゴン町ルアカン村(Hinako)


台湾から鉱山開発地域で暮らす人々について知りたいと集まった日本人5名が、はるばるお越しくださり、鉱山地域の視察に私も同行させていただきました。そのとき見た現状を私が理解できた範囲でみなさんにお伝えしたいと思います。世界中で資源開発による森林破壊の問題は深刻になっていますが、大々的に取り上げられることはありません。それがなぜなのか、今回の視察で少しわかったような気がします。鉱山で生計を立てる暮らしをせざるを得ない状況をこの目で見て、第3者が簡単に鉱山を撤廃するべきだと言えないものがあると強く感じました。


途中の道から見るイトゴン町


ルボ村に引き続き、2日目はバギオからほんの1時間ほどのとこにあるイトゴン町ルアカン村で、いまもなお小規模鉱夫による金の発掘が行われているところへ訪れました。イトゴン町ルアカン村では、1986年にBenguet Corsollated Incorporation (BCI)による土地の権利買収、また露天掘りが行われました。イトゴンは、イバロイ族と呼ばれる先住民族が住んでおり、もちろん現在鉱山地域になっている土地はイバロイ族のものでした。フィリピンのほとんどの先住民族は先祖から土地を受け継ぎ、農業を営んでいる人がいまでも大勢います。しかし、BCIによる強行な土地の買収は止むことなく続けられました。それに対してイバロイ族は人間バリケードをつくったり、女性は上半身の露出するなど、BCIの撤退させるため様々な阻止活動を行いました。しかし、BCIによってここの土地で金が発掘できることを明らかにされ、露天掘りは始まってしまいました。それによって山がひとつなくなったと言います。私たちは、実際に山が消え、大きな池になった場所に訪れることができました。そこに山があったなんて信じられない光景です。しかし、一人の鉱夫さんが「確かにここには山があった」というのです。

一見綺麗に見えるエメラルド色の池



昔は周りの山と同じようにあった山が露天掘りによって失われました



山がひとつなくなれば生態系に大きな影響をもたらすのは、誰もがわかる事実です。その結果、水を必要とする田んぼはできなくなりました。ここの土地に残ったのは、金を掘るための多数のトンネルと枯れた土地です。そこで、人々が生きるにはBCIが残した採掘トンネルを利用し、金の採掘をする鉱夫になるしかなかったのです。現在は、イバロイ族だけでなくミンダナオ島やカリンガなど様々な地域からお金を稼ぐために、多くの人がやってきます。現在は、いくつかの小規模鉱夫をまとめる組合ができており、Loacan Itogon Pocket Miners Association(LIPMA)とAntamoc Loacan Mining Association(ALMA)の二つの組合の方々からお話を聞くことができました。

組合の建物の中に掲げてあるLIPMAの旗


現在、この2つの組合を含め6つの組合があるそうで、ひとつの組合に約600人の鉱夫が登録しているといいます。多い組合は千人を超えているものもあり、少なくとも数千人に及ぶ鉱夫がいまもなお、金の採掘に従事しているということになります。しかし、ひとつの組合を除いてほとんどの鉱夫がイリーガル(違法)に金の採掘を行なっています。というのも、BCIは1990年代に倒産し採掘の権利を事実上ALMAに引き渡したのです。その書類をMemorandum of Agreement(通称MOA)と呼んでいます。この書類を所持しているALMAだけが、現在合法的に金の採掘を行える状況にあるといいます。


多くの事実を語ってくれた一人の鉱夫の方


しかしながら、フィリピン政府は、非合法で金の採掘をしている人々を逮捕したりするわけではありません。ここで暮らしていくには、金の採掘が必須であるということを黙認するしかないのです。実際に、坑道や精錬所、鉱夫の住む掘っ建て小屋などを見て回ると、ここに住む人々から簡単に鉱山を奪うことはできないと痛感させられます。


鉱夫たちの住む家



坑道の入り口


金が眠っているかもしれない積み上げられた土嚢袋


鉱夫たちはトロッコに袋を積み上げ運ぶ


坑道の中は暗く、徐々にもやがかかってくる危険な空間


精錬所の全体像


ゴロゴロした鉱石を砕き細かくする青年


細かくした鉱石が泥のようになって流れていく様子


長方形の部分にフェルトのようなものがしかれており、そこに重い金がひっかかるようになっている


次にフェルトに溜まった泥を洗うと輝く砂金が見えてくる


取れた砂金は専用の陶器で数時間炭で熱すると、私たちの想像する金の塊になる。



大きな真四角のコンクリートに張られた水は、フェルトには付着しなかった砂金をさらに探しだすため、薬品を使用しているため池のようなものである。過去には水銀が使われていたこともあるが、体に多大な影響を及ぼすということが広まり現在は禁止されている。その代わりにサイナイドという薬品を日本から輸入し使用している。これは水銀ほどすぐに影響は出ないが、ここのポジションで仕事をするものは必ずマスクの着用が必要だそうだ。また、2年ほど続けると健康被害が出始め、辞めていく人が多いそうだ。



しかし、鉱夫の方々は好きで金の発掘をしているわけでもなく、坑道が危険なことも金の精錬で使われる薬品が体に悪いことも認識しているのです。誰かがどこかで、少しずつ環境に負荷のない暮らしにシフトしていくきっかけをつくらなければ変わっていくのは難しいのです。すでに、フィリピンでも鉱山に対してアクションを起こしている団体は複数あります。しかし、それが大きく広まらないのはやはり鉱山そのものがすでに暮らしの一部になってしまっているからではないかと思います。まだまだ知り得ない部分はありますが、今回の視察で実際に資源開発による環境破壊の計り知れない影響を自分の目で見られたことは私にとって、大変大きな意味をもたらしました。いまは、卒業論文で鉱山開発についてしっかり書き上げることが目標です!



ひなこの体験ブログでした〜Salamat〜




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コーディリエラ・グリーン・ネットワーク インターン体験ブログ

フィリピン・ルソン島北部のバギオを拠点に、コーディリエラ山岳地方で活動する環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の日本人インターンによるブログです。活動紹介のホームページはhttps://cordigreen.jimdo.com。以前のインターン体験ブログはこちらameblo.jp/cordillera/。問い合わせはcordigreen(a)gmail.comまで。