暮らしと農業を繋ぐ演劇づくり (Kanami)

バギオに来て早2ヶ月。学生はとっくの昔に卒業している身分だけれど、ここバギオではCGNとTALAでインターンをさせてもらいながら、今まであまり身近ではなかった英語や環境教育、ソーシャルビジネスといった専門分野に触れる日々。英語が話せないので環境NGOでの活動では基本役立たずだが、カメラマンという経験を生かし、撮影班として様々なプロジェクトに同行させてもらっている。

今回、2018年4月30日から5月4日にかけてイフガオ州はハパオ村で行われた「農業」をテーマとした演劇作品を創作する「演劇ファシリテーター養成ワークショップ」では撮影班として、後半の3日間に参加させてもらった。

視察でも訪れたイフガオ州フンドゥアン町ハパオ村へは、バギオ市内から乗り合いのバンに乗って北へ約6時間。うねうねの山道を抜けると窓の外は、普段暮らすバギオとは少し違った植生で、南国の雰囲気が漂っている。標高も下ったせいかかなり蒸し暑い。バナウェでジープに乗り換えてさらに1時間ほど。

この地域一帯に広がる棚田群は世界文化遺産に認定されていて、そんな雄大な棚田の中にはイフガオ州最高峰のナプラワン山から流れる清流ハパオ川が流れており、人々の暮らしを潤している。棚田の中を一時間ほど歩くと川のほとりに天然温泉もあり、今もなお、手付かずの自然と先住民族の暮らしを垣間見ることができる地域である。

ハパオ村に到着後、ワークショップの会場となっているイフガオ州大学(IFSU)ハパオキャンパスへと向かう。もちろんこのワークショップの概要を自分なりに理解した上で臨んだものの、いまいち流れについていけないまま、熱気の渦に巻き込まれていった。

このワークショプでは「聞き書き」をベースとして、それぞれの感じたことや想いをのせて「演劇」という手法で表現していく。すでに、ワークショップ後半ということもあり、どうブラッシュアップしていくかといった段階だった。

現場に入って印象強かったのは、みんなのモチベーションの高さ。早起きの人で朝4時過ぎには起きだしてヘッドライトと月明かりの下、細い棚田の中の道を歩いて温泉へ。急いで戻って朝食を済ませたら、いざ練習。もちろんおやつとランチの休憩は欠かせないが、日が暮れて、夜が更けるまで練習に励んでいた。

レンズ越しに見えるみんなの表情は笑顔が絶えず良い雰囲気であったが、それと同時に真剣そのもので、時に声を張ってお互いの意見をぶつけ合う。本番前日の発表の時点では、まだ完成にはほど遠く、少なからず焦りも感じられた。

ワークショップ最終日、発表会場は、イフガオ州ラガウェ町イフガオ州教育省内のホール。

会場入りして限られた時間の中、設営、リハーサルが行われ、いよいよ本番。

と、ここまで来てなぜか、私も日本人観光客という設定でのエキストラ出演が決まる。

カメラをインターンひなこに託し、たった一回の練習だけでステージに立ち、ほぼアドリブでひどいものではあったが、初めて舞台の表側と裏側を経験することとなった。

本番前、みんなのテンションは最高潮。舞台裏に入っても、ギリギリまで台詞の確認や小道具づくり、つい声が大きくなって何度かファシリテーターから注意を受ける場面もあったが、緊張した面持ちで出番を待つ姿や、心をひとつにしていく姿に、心がきゅっとする。

舞台に立った彼らの姿からは、裏で見せた緊張感を感じさせることなく、それぞれの役柄を演じきり達成感に満ちていた。

今回、この5日間という限られた時間の中で創り上げたこの舞台が100点満点だったかどうかは大切なことではない。みんなで試行錯誤しながら感じて創り上げて得たものを、どう次に繋げていくのかといったところが見所であり今後の課題である。

彼らの暮らしの中では当たり前のように傍にある豊かな自然と伝統的な農業。
それは自分たちにとっても遠いようで身近にあり、向き合うべき課題ではないか。

なぜならば、その土地に適した昔ながらの手法で行う農業は、手間と時間こそかかるが、それは自然と人間が共生していく上で、大切な役割だと思うから。

自分自身は農業従事者ではないけれども、この立場からできることを学び考え選択を重ねていきたい。と同時に、短いインターンの期間の中で度重ねて訪れたこの地を忘れることはないだろう。

このプロジェクトがひとつのかたちとなるまで、傍で見守ることができないことが悔やまれるが、自分の在るべき場所から心を寄せることができればと思う。

文・写真 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)、TALA Share & Guesthousインターン 阿部佳奈美




演劇ワークショップでアジアの農村をつなぐ

~青少年を対象とする環境問題をテーマとした演劇交流事業~

事業実施団体:

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)

人間文化機構 総合地球環境学研究所

助成:国際交流基金アジアセンター アジア・文化創造協働助成/トヨタ財団

0コメント

  • 1000 / 1000

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク インターン体験ブログ

フィリピン・ルソン島北部のバギオを拠点に、コーディリエラ山岳地方で活動する環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の日本人インターンによるブログです。活動紹介のホームページはhttps://cordigreen.jimdo.com。以前のインターン体験ブログはこちらameblo.jp/cordillera/。問い合わせはcordigreen(a)gmail.comまで。